無形文化財
演劇,音楽,工芸技術,その他の無形の文化的所産で我が国にとって歴史上または芸術上価値の高いものを「無形文化財」という。無形文化財は,人間の「わざ」そのものであり,具体的にはそのわざを体得した個人または個人の集団によって体現される。
国は,無形文化財のうち重要なものを重要無形文化財に指定し,同時に,これらのわざを高度に体現しているものを保持者または保持団体に認定し,我が国の伝統的なわざの継承を図っている。保持者等の認定には「各個認定」,「総合認定」,「保持団体認定」の3方式がとられている。
重要無形文化財の保持のため,国は,各個認定の保持者(いわゆる「人間国宝」)に対し特別助成金(年額200万円)を交付しているほか,保持団体,地方公共団体等の行う伝承者養成事業,公開事業に対しその経費の一部を助成している。このほか,国立劇場においては,能楽,文楽,歌舞伎,演芸等の芸能に関して,それぞれの後継者養成のための研修事業等を行っている。
また,重要無形文化財に指定されていないが,我が国の芸能や工芸技術の変遷を知る上で重要であり,記録作成や公開等を行う必要がある無形の文化財について,「記録作成等の措置を講ずべき無形文化財」として選択し,国が自ら記録作成を行ったり,地方公共団体が行う記録作成や公開事業に対して助成を行っている。